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スポーツ医科学レポート

パフォーマンスを高めるためには
松岡 敏男(岐阜大学 医学部)

 今回のレポートはトレーニングの話ですが、筋力を高めたり、持久力を高めたりするものではなく、体力要素として含まれていますがあまり行われないトレーニングについて述べます。ご存じのように体力要素として筋力、瞬発力、持久力、敏捷性、柔軟性などがあります。筋力トレーニングの必要性は指導者や選手も十分に認識しています。選手の体格や記録の向上は昔とは比べものにならないくらい伸びています。また、メンタルトレーニングやイメージトレーニングの重要性が述べられ、これらのトレーニングもパフォーマンスを向上させる一因となっています。
 これから述べる体力要素の柔軟性や平衡性と言われるものはパフォーマンスに直接数字として現れにくいものですが大変重要と思われます。しかし体操や体操競技のように柔軟性が必要とされる一部の種目を除いてあまりトレーニングを行っているのを見かけません。
 柔軟性については競技特性にのめり込めばのめり込むほど、また年齢を重ねるほどに失われていくような種目もあります。測定は以前から立位体前屈等で行われていますが、この方法をもって柔軟性がないと判断を下すのは問題がありそうです。現在の測定法や評価の問題点はここで触れませんが、選手や指導者は競技に必要とされる関節部位の柔軟性を高める必要がありそうです。競技種目の特性を良く知り、要求される柔軟性がどのようなものであるかを知り、柔軟性を高めることは運動効率を高めるだけでなく、関節や筋肉にかかる大きな力をうまく緩衝させる役目になり、障害の予防にも大変役に立つと思われます。
もっとストレッチングの活用を
   種目に必要とされる柔軟性を高める適当な方法がストレッチングです。今のストレッチングは準備運動として行い、体の筋肉や関節を伸ばすことは行っていますが、柔軟性を高めるためのものではありません。
 長距離選手の調査では膝関節が硬いものはランニングにおいて痛みを訴えたり、障害が多いという結果が出てます。柔軟性のある選手は痛みを訴えるものが少なく、障害も少ないそうです。また、柔軟性を高めるための研究ではストレッチングを利用し、同じ部位を6分間続けることで効果があるというような報告もあります。強度は最大の負荷でなくてもよいそうですがあまり実用的ではありません。しかし工夫すれば効果が上がると思います。
平衡性のトレーニング
   平衡性は筋機能の統合と視覚や三半規管などの平衡感覚器からの情報に対する適切な筋機能の協調の能力です。静的なものと動的なものがあり、静的な検査法として代表的なものが閉眼片足立ちです。外部の刺激に対して体の平衡性を保つ能力は日頃の運動だけでも良くなりますが、早い時期のトレーニングが能力を高めることにつながるでしょう。動きを伴うようなスポーツは外乱に対し動作がスムーズに移動でき、身体の安定化を計ることにより時間的な遅れや「すれ」を防止でき、結果として良いパフォーマンスを得られることができ、障害の防止にも役立てることができます。優れた選手は視運動刺激をするような外乱に対し姿勢防御が優れていることが証明されています。身体の安定さと運動能力の優秀さに関係がありそうです。
視覚的な能力
   最後は視覚的能力ですが、この機能を検査し、それをトレーニングすることによって視機能を高め、パフォーマンスを向上させようとするものです。この能力を研究するグループにより検査法が開発されています。運動はまず視覚で捉えられ、その状況を判断し、効果器で実行されることを考えますと、最初の情報が正確に、早くそしてより多くの情報を受け入れる能力があれば効果的な判断をくだすことに結びつくと思われます。このような機能にはトレーニングにより向上するものとしないものがあります。動体視力といってものが動いているのを識別できる能力はトレーニングにより早く動くものを識別できるようになります。しかし個々の機能のトレーニングを行い、機能向上が見られたとしても、どのように状況を判断して適切な動きをするかは別なものです。特にボールゲームなどは状況に応じて次に行うプレーを適切に選択できる能力が求められ、このような能力をトレーニング(状況判断能力)することがパフォーマンスを高めるために重要になります。
 日頃は技術や筋力や持久力のトレーニングが中心と思いますが、選手の能力を総合的に高めるために色々な目的を持ったトレーニングに目をむけて行えば、選手のパフォーマンスが高められ、障害も未然に防ぐことにつながると思います。

スポーツビジョン検査項目とトレーニング効果
1)静止視力(SVA) トレーニング困難。適正な矯正が必要。  
2)動体視力(KVA) トレーニング可能。SVA値以上にはならない。 SVAと相関(+)
3)コントラスト感度(CS) トレーニング困難。 SVAと相関(+)
4)深視力(DP) トレーニング可能。 SVAと相関(±)
5)動体視力(DVA) トレーニング可能。 SVAと相関(−)
6)眼球運動(OMS) トレーニング可能。 SVAと相関(−)
7)瞬間視力(VRT) トレーニング可能。 SVAと相関(−)
8)眼/手協応運動(E/H) トレーニング可能。OMSと軽度相関 SVAと相関(−)

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