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スポーツ医科学レポート

体力トレーニングの必要性

水野敏明(中日本自動車短期大学教授)

 競技力向上のためには体力トレーニングは必要なものです。とかく自分の専門とする競技の技術修得のみに明け暮れてはいないでしょうか。近年のスポーツは練習の量だけでは勝てなくなり、質(内容)が問われるようになってきました。スポーツはその人の素質だけでもだめで、またトレーニングだけでもだめです。両方が相まって競技力の向上を望むことができます。
 はじめにあなたのおかれている環境を考えてみましょう。指導者に恵まれていますか、競技をする施設等が十分ですか。この環境は競技力向上をめざす以前の問題であり、これらは現時点ではかえることができません。比較的容易に個人の意志で実践できるのは、トレーニングを含む運動、生活習慣(特に食生活)、休養の三つです。
 今回はこの中でも特にトレーニングを含む運動について述べてみます。 この運動を行うには、まず専門とする競技の特性を知ることが大切です。スポーツ特性つまりそのスポーツは無酸素運動か有酸素運動か、あるいは運動要素は何か、どんな体力要素を必要とするのか、そして自分の持っている身体的特性と合っているかを知ることが必要です。つまり身長の条件がそのスポーツに適しているかどうか、また筋線維の内、速筋線維と遅筋線維の割合はどうか、この割合によって運動成績を示すともいいます。また最大酸素摂取量の値はどうか、この条件はトレーニングをしてもさほど伸びることはなく、遺伝的なものです。まずこれらのことを知っておくことが大切です。
つぎにトレーニングの原則を理解することです。
オーバーロードの原則……トレーニングを実施する際には、ある一定上の負荷(医科学レポートNO.1筋力づくり参照)で運動しなければ効果は望めないという原理です。ギリシャ時代のクロトナのミロは成長する仔牛を毎日持ち上げて筋力を鍛えました。
全面性の原則……トレーニングは体全体を使って高めるもので、片寄りのないようにしなければなりません。トレーニングはバランスを考えて実施します。この原理はもっと広い意味で考えられることがあります。スポーツは「心・技・体」が充実してこそ成果が期待できると同じように、体力面だけでなく、技術面、精神面も同時に向上させるようにしなければならないというものです。

漸進性の原則……トレーニングは個人の持っている能力に応じて行うことが最も大切です。個人の能力に対して低すぎては効果は上がらないし、高すぎては障害を起こすこともあります。従ってトレーニングの質や量を少しずつ増加させていくことが必要です。
個別性の原則……個人の特徴を十分に尊重しなければなりません。トレーニングはしばしば集団で行われることがありますが、能力や個性の違う選手を同一に扱うのは危険ですし、効果も期待できません。年齢、性別、体力、目的、運動能力、健康度、生活環境、運動歴、職業、その他個別的な配慮が必要です。
反復性の原則……トレーニングは、1回で効果が得られるという即効性のものではありません。効果は適度な間隔で繰り返し反復、継続することによって得られるものです。
意識性(自覚性)の原則……トレーニングや練習を実施する選手自身が、なぜトレーニングをするのか、どのような効果をもたらす運動なのか、どの様な効果を得たいのか等の目的や目標意識をもって実施しなければ効果は期待できません。このためには、選手自身もスポーツ科学の知識を持っていなければなりません。

トレーニング計画
 トレーニングの計画は、一定の期間におけるトレーニングプログラムを作成します。一定の期間とは週間計画、月間計画、年間計画、長期(3〜5年)計画とさまざまです。また多くの大会等に出場する競技者はシーズン制をとり、準備期、鍛練期、試合期(仕上げ期)、移行期(調整期)と各計画をさらに細かく分けて考える場合もあります。個人の目的や目標、あるいは競技種目によっても異なりますが、トレーニングは計画を立てて取り組むと効果が期待できます。

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