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スポーツ医科学レポート

『競技力向上のための目標設定』

岸順治(岐阜経済大学)

 選手と指導者が、日々の練習や試合に向けて目標を設定することは、競技力向上のためにも、また不安や自信、動機づけなどの心理状態に対してもポジティブな変化を与えます。しかし、目標なら何でもよいというわけではなく、適切で効果的な目標の立て方・与え方を最近のスポーツ心理学の知見から紹介しましょう。
 まず、目標の役割・機能というのは、@注意と行動を方向づけ、A課題に向ける努力を集結し、その量を調節し、Bその課題に向ける努力を持続させ、C目標達成のための方策・方法の探索させます(Locke&Latham)。
 目標はいろいろと分類されていますが、主観的目標(例えば、楽しむ、ベストを尽くす)と客観的目標(試合に勝つ、シュートを何本入れる)という分け方(McClements)、あるいは、結果目標(勝敗やタイム)と行動目標(プレーや練習の仕方・質)という分け方(Martens)などがあります。一般的には、主観的よりも客観的、そして結果より行動目標の方が有効であることがわかっています。
 そして競技力向上のための目標設定には、SCRAM(スクラム)が重要です(Fuoss&Troppmann)。つまり「S」はSpecific、つまり明確で具体的な客観的目標、「C」はChallengingです。これは、挑戦的な目標であり、よく言われるのはできるかできないかがフィフティ・フィフティ、50%ぐらいの目標が最も選手のやる気が高まります。次の「R」は、Realisticです。達成不可能な目標を掲げてもその機能は果たせず、できるだけ身近で現実的なものであるべきです。「A」はAttainableであり、直訳すると達成可能なものですが、これは前者のRealisticと重なりますから、後にこれをAcceptableに変えて紹介している研究者がいますが(Beggs)、選手と指導者が共に受け入れられる、受容できるものとしてこちらの「A」の方がふさわしいと思います。最後の「M」はMeasurableで、測定できるものという意味です。目標がどれだけ達成できたか、どの程度までできたのかを評価することはとても大切なことです。これがはっきりしない目標は、目標としての機能をあまり持たないと言えるでしょう。
 このように、目標は具体的に、挑戦的かつ現実的で、受容でき、そして評価できるものであることが理想です。さらに、いまここでの目標、今日の練習、ここ1週間、1ヶ月、今シーズン、1年と短期から長時間に渡る目標を段階的に細かく設定しておくことが必要です。また、日々の練習日誌などで目標がどれだけ達成されたかを評価し、今後の目標を確認していくことも、目標を一層効果的なものとし、やる気を維持するためにとても役立ちます。そして、最も大切なことは、選手と指導者が共に目標を共有しながらスクラムを組んで、目標達成のために励んでいくことだと思われます。

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