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スポーツ医科学レポート

スポーツにおけるピークパフォーマンスの心理的構成要素

鈴木壯(岐阜大学教育学部)

 実力発揮や競技力向上を目的として、心理面から強化をするためにメンタルトレーニングが行われています。このメンタルトレーニングを実施するために様々な心理技法が考えられていますが、どれをするにしても、まず初めに、競技中の心理状態(こころ)がどのようであるかを把握した後に、それに基づいてトレーニング目標を設定していく必要があります。しかし、知ったりすることが簡単ではありません。誰でも、競技中に「こころ」がどう動いているのかはわかりにくいものです。
 このように「こころ」がとらえどころがないものであるため、何を目指してトレーニングしていくかがわかりにくくなります。それを解決するひとつの方法として、過去の競技の状態を手がかりとして考えていく方法があります。ピークパフォーマンス(peak performance)、つまり、過去に最高の記録を出したり、理想的なプレイができたり、非常に満足なゲームができたりしたときの心理的世界がどのようであったかを分析していこうとするものです。実際にメンタルトレーニングをするときに、その心理状態をトレーニング目標として、意図的にその状態をつくろうとします。
 それでは、ピークパフォーマンスのときの心理状態はどういうものから構成されているでしょうか。このトレーニングを考えたガーフィールド(1984)は、精神的リラックス、身体的リラックス、自信/楽天的、現在の状態への集中、精力的(エネルギッシュ)、気づきの高さ、コントロールできていること、守られてる状態、の8つをあげています。また、このトレーニングを陸上選手に実施した中込(1990)は、表1のように、心身のリラックス・肯定的な感情、好調さ、自信、意欲・興奮、集中、安全感の6つをピークパフォーマンスの心理的構成要素としてあげ、その具体的内容として、そのときの感情を示しています。そしてさらに、その手がかりとして、個々の要素の実現のために、選手が日常的に工夫をこらして行っている行為や動作が示されています。これは非常に良い状態をもたらすために個々人が行っている工夫です。たとえば、心身のリラックスした感じ、つまり心身の軽快さの感じや気負いのなさは、日常生活のリラックスによって引き出している選手がいることがわかります。表1で手がかりとして示されている彼らの工夫は、その有効性を各種の心理技法からも裏付けることができるものです。上の例ですと、リラクセーション技法が役立つことが示されていますし、その他にもイメージや暗示の有効性を知ることができます。これは、裏をかえせば、このような心理技法を用いることによって非常に良い状態を作りだすことができる、ということが示されています。表1に示されているのは陸上選手の例ですが、他の種目の選手も大いに参考になるものと思われます。
 

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