トップ>スポーツ医科学レポートトップ

<編集・発行>
(財)岐阜県体育協会
スポーツ医科学委員会
〒500 岐阜市藪田南2-1-1 岐阜県民体育館内
TEL 0528-274-3043

スポーツ医科学レポート

「筋肉づくりと筋力・パワーづくり」

古田善伯(岐阜大学教育学部)

 筋力トレーニングを開始すると筋力は次第に増加してきますが、この筋力が増加してくる生理学的メカニズムについては次のように説明されています。すなわち、トレーニング初期にはそれまで使用されなかった筋線維が多く動員されるようになるため、筋線維の肥大がみられなくても筋力が増加してきます。そして、さらにトレーニングを継続していくと筋線維が肥大し、それに伴う筋力の増加が生じてきます(図参照)。筋力トレーニングを行ったことのない人はトレーニング初期の変化(筋線維の動費数の増加)が大きいと考えられます。
 また、筋力トレーニングを専門的に行っている選手のトレーニング内容を見ますと、例えばボディービルダーの選手は筋肉づくり(筋線維の肥大)に重点を置いてトレーニング(低負荷でトレーニング量が多い)を行っており、一方ウェイトリフティングの選手は筋力・パワーの向上に重点を置いてトレーニング(高負荷でトレーニング量が少ない)を行っています。つまり、前者と後者では筋力トレーニングによって期待する目的が異なり、したがって筋力トレーニングの内容も違ってきます。さらに、筋力トレーニング計画を立案する場合、シーズンオフに筋肉づくり(筋線維の肥大)を十分しておき、シーズン前ないしシーズンに入ってからは太くなった筋肉をフル稼動(筋線維の動員を増す)させて、筋力・パワーをアップしようという計画も考えられます。
 以上述べてきたことから察せられるように、筋力トレーニングには大きく次の2つの方法があるといえます。すなわち、

  1. 筋線維の肥大に重点を置いたトレーニング方法(筋肉づくり)。
  2. 集中力を増し、筋線維の動員数を100%に近い状態まで持っていき、筋力・パワーを向上させることに重点を置いたトレーニング方法(筋力パワーづくり)。

 これら2つのトレーニング効果を有効に引き出すためには、それぞれに合致したトレーニング条件(@負荷の種類、A負荷の強度、B繰り返し回数、Cセット数、Dセット間休息、Eトレーニングの実施頻度など)を適切に設定して遂行する必要があります。そこで、今回は紙面の関係上、筋肉づくり、筋力づくり、パワーづくりのそれぞれに相当する負荷強度とトレーニング量(繰り返し回数とセット数)に限定して具体例(StoneとO’Bryant)を示しますので、1つの目安にしてみて下さい。

  1. 筋肉づくり期:低負荷(1RMの50%〜75%)、大きなトレーニング量(1セット当たり8〜12回を3〜5セット)。
  2. 筋力づくり期:中負荷(1RMの80%〜88%)、中程度のトレーニング量(1セット当たり5〜6回を3〜5セット)。
  3. パワーづくり期:高負荷(1RMの90%〜95%)、少ないトレーニング量(1セット当たり2〜4回を3〜5セット)。

(1RMは1回しか持ち上げられない負荷に相当します。たとえば、1RMが100kgの時、80%の負荷は80kgに相当します。)
 なお、筋力トレーニングを行う際にセット間の休息は筋収縮に要したエネルギー(ATP、CP)を回復させるのに重要になってきます。筋肉づくりでは2分以内、筋力及びパワーづくりでは2〜5分のセット間休息を取るようにします。
 筋力トレーニングを有効に取り入れて競技成績の向上を目指して下さい。

Copyright(C) 1997 SPORTS GIFU
more information & question
spojo@gifuspo.or.jp