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スポーツ医科学レポート

「スポーツの傷害を防ぐには毎日の身体の手入れが大切!」

喜久生明男(岐阜大学整形外科)

スポーツでの怪我や故障はスポーツ選手にとっては大変な問題です。それらを予防するには練習前後にウオームアップとクールダウン、ストレッチングが大切です。しかし、実際には皆で同じストレッチングをなにげなくやっているだけで、とても、一生懸命やっているという姿はなかなか見られないものです。本来ならば、皆でやるストレッチングと個人個人がそれぞれに必要なストレッチングを分けて行う必要があります。なぜなら、一人ひとりの能力や身体の状態が同じでないだけでなく、練習や試合で主に使われる筋群が個人個人により違っているからです。こんな話を始めたのはスポーツの傷害は防ぐことができるのだろうか?ということを考えてみたからです。
今年の2月に行われた、岐阜スポーツ医学研究会にてスポーツ障害についての報告がありました。その報告では1991〜1994年までの4年間の外来受診者684名(年齢は9歳〜53歳。13歳から22歳の症例が622名91%を占め、中でも高校生が500名73%。女性は247名36%、男性は437名64%)を分析しています。スポーツ外傷は272名(40%)、スポーツ障害は412名(60%)であり、怪我より故障の問題が多いことが分かります。故障(障害)の中では腰部91名(22.1%)、膝81名(19.7%)、肩53名(12.9%)、足・趾50名(12.1%)、下腿47名(11.4%)、上腕・肘25名(6.1%)、足関節20名(4.9%)、骨盤・股関節18名(44.4%)、大腿15名(3.6%)、その他12名(2.9%)の順でした(図1)。この中で膝の障害(N=81)について障害因子を調査したところ、筋のタイトネスが32.1%,アライメント異常14.8%、運動量の増加(過度使用)9.9%動揺性9.9%であり、膝の障害に対し何らかの障害因子があると予測されるものは67.9%と述べています。(図2)。
 筋のタイトネス(硬くなった筋肉、柔軟性のなくなった筋肉)は練習や試合の後の筋肉の疲労や隠れた肉離れの結果であることを考えれば、毎日の練習前後の十分なストレッチングにて約1/3の障害は防ぐことが出来ると予想されます。毎日の自分の身体の手入れがいかに大切かを思い知ることが出来ると思います。アライメント異常はO脚、X脚、Q角異常の事ですが、これは個人個人の身体が持っている構造の違いによりますので、整形外科でのチェックを受けると良いと思います。関節の動揺性(ゆるみ)に原因がある障害も約10%見られていますので、同様に整形外科でのチェックが必要です。この原因には筋力強化や装具、テーピングなどで対応できることが多いようです。運動量の増加による原因が約10%でしたが、このことは運動量の増加に対応できない体力であり、選手にとっては基礎体力の増加を考える必要がありますし、指導者にとっては全員が同じ体力でないことを知り個人個人に見合った練習と障害の早期発見に注意をすることが大切になります。これらの障害原因は膝においての分析でしたが、その他の部位においても概ね同様であろうと予測されますので、これらの障害因子に注目することにより障害はかなり減らせることが可能であると予想されます。
 そして、スポーツ障害の予防に何よりも大切なことは毎日の自分の身体の手入れであり、練習前後のウオームアップやクールダウン、自分に必要なストレッチングを一生懸命やることによりその日の疲労を十分取ることが大切だと言えます。
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