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スポーツ医科学レポート

スポーツ医科学に期待するもの
〜スポーツ指導者の立場から〜
安江 満夫
(岐阜女子高校バスケットボール部 監督

 チームカを向上させたい、成績を残したいという願いは誰にでもあります。けれども試合のとき、ベストコンディションでのぞめなかったのでは選手、コーチ、チームにおいて、諦めきれないものがあります。 この結果からもわかるように、

9899年は急性外傷、慢性外傷と、共に多くとても悩みました。慢性外傷の多くはシンスプリント、そこからの疲労性骨折でした。
 チームとしてできること、それはけがをした選手の復帰をドクターにお願いして早めてもらうのではなく、けがをしない体、心をつくるには、いまなにをしなければならないか、という事だと痛感しました。山賀先生をはじめ、諸先生方にアドバイスを頂きこれまでの失敗を基にし、改善すべき点を考えてみました。

●食事 休養 トレーニングのバランス
●ウェイトトレーニングの方法
●けがをしない動きづくり
●ウォーミングアップ、ダウン アフターケアの重要性
 ◎これらを含めた、選手の意識

 目的としては、ただ勝つために無理をするのではなく、疲労の回復、それがなぜ重要かを選手に意識づけることが、けが防止への一番の近道だと確信しました。私たちのチームは全寮制で食事に関しては

3食摂るだけでなく、休みの日の食事、貧血の選手への指導、トレーニング後の食事の重要性などを主に徹底してきました。サプリメントもその状況に合わせて摂取させました。トレーニングもただ行うのではなく、練習量とのバランスからメニューを決定し、1年生の初期のトレーニングは別メニューにし基礎の体力づくり、動きづくりを行いました。
 全体としてのトレーニングのメニューはウェイトトレーニング、ダッシュ系、アジリティ的なものなど選手が飽きずにできる様に工夫し無駄のない体(バスケットボールに必要な筋持久力)を造ることが目標としています。どこをなんのために強くしているかを選手に説明し、意識させることに沢山の時間を費やしました。「強くなりたい、負けたくない」選手のそんな思いが身も心も強くしていくのだと思います。ウェイトトレーニングは負荷を重くすることよりもフォームを重視する様になりました。動きづくりとしては毎日の練習のなかにターンやステップでの正しい体の使い方を少しづつ繰り込んでいきました。フットバス、ストレッチングボードをもちいたり、アイシングを徹底させ、まず自分の体は、自分で管理する。ということができる選手になってほしい。そこが大切だと思っています。

 はじめの頃は選手も実感がなく成果などはすぐには目には見えないもので、これでよいものか、他にもっといい方法が、と迷ったりもします。そのような時、ドクターやスポーツ医科学の先生に不安を打ち明け、心強い言葉を沢山項きます。現在では慢性、急性外傷共に減少し、選手の意識にもやらされるのではなく、「もっと強くなりたい」というような気持ちが芽生えてきました。それでもけがは完全に無くなるものではありません。「どれだけ最小限に防げるかが大事な事ですよ」と、ある先生に言って項きました。その言葉ですごく楽になれました。
 ACL損傷で復帰できない選手がいました。リハビリや練習に手を抜いていたわけではありません。「早くコートに立ちたい」そんな思いで必死でした。けがの回復よりも心が治るまで時間がかかりました。私も選手も本当に悔しい思いをしました。もうこんな思いはさせたくないし、したくない。だからこそ、この事実に正面から向かい、どうしてけがをしたのか、全ての要因から考え、同じ過ちを繰り返さないこと。これが今できることです。失敗を恐れず、とにかくわからないことや疑問に思うことは見たり聞いたり、必ず解決しなければなりません。そしてこれまで様々な方面での先生方に勉強させて項き、今のチームがあるとおもいます。自分達の知識だけではここまではこれませんでした。けがをしてしまった選手は体よりも心の傷が深く、それに打ち勝つ強い気持ちと体をつくることはもちろんですが、けがをする前にできることはたくさんあります。
 これからスポーツ医科学に期待することは、そのチームにとって、自分にとって何が大切かを、コーチ、選手も判断できる能力を養っていくことのできる環境作りだと思います。そしていつも迷惑ばかりかけているドクターや先生方には、勝つという目的があるからこそ、選手がまず健康であり、選手が笑顔を見せることが1番の恩返しだと思っています。

ACL

損傷の年度別人数
 

98

99

00

人数

4

3

1