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スポーツ医科学レポート NO.12

6.柔道整復師の立場でのサポートについて

    尾藤 英邦
((社)岐阜県柔道整復師会 会長)

 岐阜県では現在480名程の柔道整復師が接骨院を開業しております。その中には私と同じように柔道整復師という立場で、スポーツ現場においてトレーナー活動をしている人がおります。
 柔道整復師は日本古来の伝統医療として、ほぼ江戸時代に確立しました。その後時代の変遷と共に近代医学、科学が加わり、保存的療法・非観血的療法として現在まで発展してきました。骨・筋・腱・関節等に急性・亜急性の外力によって生ずる骨折・脱臼の応急処置や、打撲・捻挫・挫傷等軟部組織の損傷に対する施術であります。
 私は20数年前より「岐阜県バトミントン協会」の主催する各種の大会や強化合宿等に参加してきた経験があります。また、トレーナーとして国体、全国大学選手権、高校総体に帯同した私の接骨院に勤務する柔道整復師の活動も参考にして述べたいと思います。
 私共は、日常の業務の中でスポーツ障害の患者に対して種々のテーピング、マッサージ、ストレッチングや手技治療を行っており、スポーツ現場においても自然に選手へのアプローチが出来ます。また、選手やその周囲の監督、コーチ、父兄等に接する機会に障害の程度や状態について適切に説明することができる職業であると思います。
 トレーナー活動においては、選手の身体評価から得た情報を有効に活用し、障害部位の治療、保護、再発の予防を行います。その為には、それらを監督、コーチ、選手に的確に伝達するインフォームドコンセントが重要であり、ベストなメニューを選手に提供することであります。怪我を治し復帰するのは選手です。選手の求めることを理解し、選手との協調を計らねばなりません。選手は多少無理してでも試合に出場したいと思いますし、時には怪我を隠したりもします。相互信頼の上で目標設定をどこにするかを決めなければなりません。次の試合までの日程、その選手のおかれた立場、怪我の状態、試合の重要性等も考慮にいれることが望ましいと思います。もし出場に踏み切った場合、その状況で最大の力を発揮するには何をすべきか考え適切に処置し、その選手のメンタル面にも注意を払わねばなりません。選手は一人一人考えが違います。常日頃の選手との良好な関係が必要となります。そのためには、正確な知識、優れた技術そして何より人間性が問われます。
 また、スポーツの現場においては、日常の柔道整復業務とは異なる対応が必要であります。例えば重度の創傷、脳血管障害、心疾患、熱中症などの内科的なものや、現場での突発的な事故に対して適切な対応(救急法)が求められます。大会の規模や競技種目の特性にも関係しますが、事前に想定される事故に対しての準備が必要で、特に医療機関との連携などが不可欠であります。全国的な大会においてはメディカルチェックを含めた総合的なサポート体制の一員としての迅速な対応が求められます。そのためには、常日頃より他業種の方々とチームを組み、意志の疎通を計り、自分の役割を確立することが大切であります。
 現在我々は柔道整復師として地域のスポーツ現場で、ジュニアから高齢者までの種々の大会や、国体、社会人大会、全国大学選手権、高校総体等で救護活動をしております。また、一部の柔道整復師たちは、ナショナルチームに帯同して国際大会にも活動の場を拡げております。これからも柔道整復師は、その特色を活かして積極的にトレーナー活動にも参加したいと思います。

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