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スポーツ医科学レポートNO.11


5.スポーツ医科学に期待するもの


荒井 強平
(スポーツ医科学委員)

 20年前、バスケットボールの本場アメリカ遠征の機会を得ました。 当時世界中のファンが注目していたコートの魔術師マジックジョンソンや、名センターのジャバーが活躍する名門ロサンゼルスレイカーズの本拠地「フォーラム」を見学することが出来ました。 バスケットボールの殿堂と言われるだけあって、2万人余を収容する巨大な競技場は想像どおりでしたが、ロッカールームを見学して、その施設の内容には驚き選手に必要と思われるあらゆる筋肉を強化するトレーニングマシンが並び、個々の選手の体力に応じたメニューが組まれていました。 トレーナー室には大きな病院の整形外科室のような機器が整然と並び、専門のドクターやトレーナーが選手と一体となって活動している姿は、私には夢の世界であり、今でも強く脳裏に焼きついています。さらに試合では、ハーフタイムになると、コーチのもとにわずか2分程度で試合前半の両チーム選手の個人記録、相手の戦術等の必要な情報が的確に集まり、それを基に後半の戦術が考えられ、すぐさま選手にも指示される、わずか10分の間に多くのことが為されている姿など、すべての面で当時の日本と比べ隔世の感がしました。
 以前の指導者は私を含め、多くが精神主義に重点を置き、水は絶対に練習中は飲んではいけない、少々の痛さや体調が悪い程度は・・・「無理を我慢してがんばれば強い精神力が育つ」と考えて、選手に無理を強要していた覚えがあり、無知だったと反省しています。
 現在本県ではスポーツ医科学に重点が置かれ、スポーツドクターの積極的協力が得られるようになり、さらにスポーツ科学トレーニングセンターの整備により、多彩なスタッフから、体力やメンタル面だけでなく知的な分野にまで適切なアドバイスを受けることが出来るようになったことは、まさに大きな進歩であり心強い限りです。
 サッカーのワールドカップでは、イングランドのベッカム選手が左足の甲を骨折し、出場が危ぶまれましたが、酸素テント、エアーギブス、電気マッサージ等医科学の最高の医療をもって本番では見事な活躍を見せてくれました。 反面フランスのジダン選手の試合直前の怪我は優勝候補チームが予選リーグにて敗退という重大な結果をもたらしました。 いくら医学が進歩した現在でも怪我や病気の予防は、指導者の最も重点を置かねば成らないことだと再認識させられました。
 大会では、表には出てこないところで、多くの医科学的サポートがなされていただろうと推測されます。 また情報の収集にも多くのエネルギーが注がれていたことでしょう。
 熱狂的な大観衆の中で、持てる力を、場合によってはそれ以上の力を発揮するために、コーチはどんな指導をしたのか、やがてその全容が明らかになるのを楽しみにしています。
 これからの指導者はスポーツ医科学について、もっと多くのことを学び、それを指導に有効に活用する力が必要です。 特に私はスポーツ医科学委員会のメンバーとして、指導者と医科学関係者の関係をさらに密接なものとするためお役に立ちたいと思っています。

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